ここ数年、育児や子育てのツールとして、スマホやタブレットなどデジタル機器を活用する親御さんが増えてきました。
たしかに、スマホやタブレットは、動画を見れたり、アプリを使えたりするので、とても便利なツールですよね。
また、お母さんが家事やお仕事でどうしても忙しいとき、スマホやタブレットを渡せば、静かにしてくれるので、とても助かりますよね。
ただ、実は、早いうちにスマホやタブレットを使わせすぎると、お子さんの脳によくない影響をもたらすことが指摘されています。
そこで、今回はスマホやタブレットが子どもの脳に与える悪影響をわかりやすく解説します。
※今回の記事の参考文献です。
片岡直樹 『児科医が伝えたい言葉の遅れが改善する方法 自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群と診断された子どもが回復』
澤口俊之『発達障害の改善と予防: 家庭ですべきこと、してはいけないこと』
メアリー・エイケン『サイバー・エフェクト 子どもがネットに壊される』
目次
スマホやタブレットは脳に刺激を与えすぎる
スマホやタブレットを子どもに使わせると、急に静かになって、集中しているように見えますよね。
でも、実はこれは集中しているのではありません。
スマホやタブレットから刺激を強く受けすぎて、麻痺している状態に近いです。
これは私達大人も同じです。
例えば、みなさんはテレビを見るとき、常に集中して見ていますか?
ボーッとして無意識に見ていることはありませんか?
おそらく、あると思います。
お子さんもそれに近い状態で、スマホやタブレットを見ているだけのことが多いです。
また、スライドやタッチをすることで、素早く切り替わる画面や場面の転換は、お子さんの脳に強い刺激与えてしまいます。
これを専門用語で「過刺激」と言います。
この「過刺激状態」が続くと、お子さんは、より素早い動きや反応にだけ注意を向けるようになります。
そうすると、例えば日常生活で人が普通に歩いたり、手を振ったりする動きだったり、風で草や木が揺れる動きがすごくゆっくり感じてしまいます。
すると、子どもは、もっと刺激を求めて、手に持っているものを激しく横に振ったり、自分が走り回ったりして、目の前の世界の動きを早くしようとします。
ほかにも、扇風機が回るのをずっと見ていたりすることもあります。
このように、スマホやタブレットなどデジタル機器を使わせると、日常生活において自分で「過刺激」を作る恐れがあるのです。
ADHDと間違われるケースもある
このような状態になると、お子さんは、注意が散漫になったり、落ち着きがなくなったり、忘れっぽくなったりするようになります。
そうなると、親御さんは、ADHDを疑い始めることが多いです。
ADHDとは発達障害の一種で、
「じっとしていられない」
「忘れ物やモノをなくすことが多い」
「自分の感情を抑えることができない」
などの特徴が見られます。
ただ、これらの特徴は、発達障害が原因ではなくて、スマホやタブレットなどのデジタル機器を使わせているのが原因の場合もあるということです。
そのため、今現在、お子さんにADHD的な表情が見られるのであれば、まず、スマホやタブレットなどのデジタル機器を使わせすぎていないかを確認するようにしましょう。
スマホのゲームやアプリは特に注意
スマホを使わせるとき、アプリなどでちょっとしたゲームをやらせている方も多いと思います。
ただ、刺激が強いゲームを繰り返していると、脳に障害が起きて、「ゲーム脳」になる危険があります。
ゲーム脳になると、脳の「前頭連合野」という部分が働かなくなると言われています。
この前頭連合野は、集中力や自制、感情のコントロールなどを司る、すごく大事な場所です。
つまり、ゲーム脳になり、ここが働かなくなると、お子さんの集中力がなくなったり、注意散漫になったり、キレやすくなったりする危険があるのです。
スマホの電磁波が子どもの脳に及ぼすことも…
現在に至るまでの研究から、スマホなどによる電磁波が子どもの脳に悪影響を与えるという結果も多少ですが、あります。
そのため、このようなリスクがあることも把握しておくようにしましょう。
スマホがお子さんに与えるその他の悪影響
スマホを見せることで、他にもさまざまな悪影響をもたらす危険性が指摘されています。
そのなかでも特にお母さんお父さんに押さえておいていただきたいことは次の3つです。
①親子のコミュニケーションの減少
②語彙力の低下
③運動不足による、不健全な発達
ざっとまとめても、これだけの影響が考えられます。
①~③については、以下の記事でより詳しく解説しているので、こちらもチェックしてみてくださいね!
2歳まではメディアの使用を避けること
米国小児科学、公益社団法人日本小児科医会でも、2歳までは、乳幼児期のお子さんにスクリーンを見せないことを推奨しています。
これは、先ほどご紹介したような子どもへの悪影響が要因となっています。
そのため、どうしても親御さんが手を離せないときに見せるのは仕方ありませんが、教育に良いと思って意図的に見せることは避けましょう。
また、スマホやタブレットなどをいつから使わせていいかについては、以下の記事で丁寧に解説しているので、こちらもチェックしてみてくださいね!
さいごに
今回はスマホやタブレットが子どもの脳に与える悪影響を解説してきました。
スマホやタブレットは、基本的に乳幼児期の子どもには必要ありません。
そのため、どうしてもお母さんお父さんが子どもに関われないときに使用するのは仕方ありませんが、積極的に育児に使用するのは避けるようにしましょう。