「赤ちゃんが寝る前にスマホを見せてもいいですか?」
「寝かしつけるためにYoutubeとかの動画を見せても大丈夫ですか?」
というご質問が寄せられます。
結論からお伝えすると、子どもの年齢に関わらず、寝る前にスマホやタブレット、テレビなどメディアの使用を避けることをオススメします。
その理由について、今回は国内外の研究を踏まえて、わかりやすく解説していきます。
目次
寝る1時間前までに見せると睡眠障害をもたらす
寝る前に、お子さんにスマホやタブレット、テレビなど、光を発する画面を見せると、眠りにつきにくくなったり、睡眠不足をもたらす危険があることがわかっています。
実際、10代の子どもたちを対象としたある研究では、就寝前の最後の1時間にテレビを見ると、子供たちは眠りにつきにくくなり、睡眠時間が短くなる傾向がありました(Hysing et al 2015)。
基本的に、人間の脳は、幼少期が最も外からの刺激を受けやすいです。
そのため、先程ご紹介した研究は、10代の子どもたちが対象でしたが、これを乳幼児期のお子さんに当てはめると、もっと深刻な悪影響を与える危険があります。
ですので、もしメディアを見せるとしても、寝る1時間前にスマホやタブレット、テレビを見せないようにしましょう。
スマホやタブレットを寝室に持ち込まない
子どもを寝かしつけるときに、スマホやタブレットなどを見せないようにする最も簡単な方法は、お母さんがそれらを寝室に持っていかないことです
僕はシッターの経験があるのですが、お母さまの帰りが遅くて、寝かしつけるとき、よくYoutubeの動画を見たいと子どもたちにせがまれました。
ただ、僕はそれを断固として拒否しました。
というよりも、寝室にそれらの機器は一切持ち込まず、代わりに絵本を持って読み聞かせるようにしていました。
こうすれば、子どもたちも諦めて、次第に静かになっていきます。
また、これを読んでくださっている親御さんのなかには、寝室にテレビがあるというケースも少なくないと思います。
ただ、もし寝室にテレビがある場合は、それを撤去することを強くオススメします。
というのも、現在に至るまでのさまざまな調査で、寝室にテレビがあると睡眠時間が短くなる傾向があることがわかっています。
米国の研究者が4歳から7歳までの1400人を超える子供たちの睡眠習慣を調査したところ、寝室にテレビがあると、夜の睡眠時間が平均38分短くなることがわかりました(Cespedes et al 2014)。
また、10~13歳(4年生~7学生)の2000人以上の子どもを対象とした研究では、寝室にテレビが置いてあると、夜の睡眠時間が約18分短くなることがわかりました(Falbe et al 2015)。
そのため、寝室にテレビを置かないようにすることも大切です。
寝る前は「絵本の読み聞かせ」が最適!
寝る前は、絵本の読み聞かせが最適です。
ちなみに、絵本は子どもが言語を理解していない年齢から読んであげて全然問題ありません。
さらに、絵本には以下のような効果があることもわかっています。
①想像力を育む
②言葉の理解・語彙力の増加
③集中力アップ
④絵本の内容に応じた学習ができる
⑤親子のコミュニケーションとしての役割
また、絵本をお母さんが読んであげると、聞き慣れた声にお子さんも安心して、スムーズに入眠できます。
そういった意味でも、寝る前の絵本はかなり効果的です。
ちなみに、絵本の効果やメリットなどについては以下の記事で詳しく解説しているので、こちらもいっしょにチェックしてみてくださいね!
そもそもテレビは2歳まで見せる必要なし
そもそもの大前提として、
「生後12ヶ月~18ヶ月未満のお子さんにはメディア(※)を見せない」
こと推奨します。
※スマホやタブレット、テレビによる映像すべて
(『日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会』や『米国小児科学会』でも、そのように推奨されています。詳しくはこちらで解説しています。)
現在に至るまで研究から、テレビを赤ちゃん(主に0歳~2歳)の子どもに見せると、さまざまな悪影響を及ぼすことがわかっています。
そのなかでも特に乳幼児期のお子さんがいらっしゃるお母さまお父さまにお伝えしたいのは次の5つです。
①睡眠不足・睡眠障害
②言葉の発達の遅れ
③親子のコミュニケーションの減少
④学びの機会損失
⑤攻撃的・暴力的になりやすくなる
①~⑤について、研究・調査などを踏まえた解説は以下の記事で解説していますので、気になる方はこちらをまずチェックしてみてくださいね。
さいごに
今回は国内外の研究を踏まえて、子どもの年齢に関わらず、寝る前にスマホやタブレット、テレビなどメディアの使用を避ける理由について解説してきました。
寝かしつけるのに、スマホやタブレット、テレビは必要ありません。
「いやいや、スマホを見せないと子供が泣いちゃう」
という方もいるかもしれませんが、それはご自身がそのような状況にしてしまっているだけです。
元々はそれがなくても寝かしつけることができていたはずです。
(現に、私達が赤ちゃんの頃はスマホやタブレットなんてまだなかったのですから…。)
むしろ、そのまま寝る前にスマホやタブレットを見せる習慣がつくと、子供の発達によくない影響を与える危険性が高くなります。
そのため、今回解説したことを踏まえて、ぜひ少しずつ改善していってくださいね。
Hysing M, Pallesen S, Stormark KM, Jakobsen R, Lundervold AJ, Sivertsen B. 2015. Sleep and use of electronic devices in adolescence: results from a large population-based study. BMJ Open. 5(1):e006748.
Cespedes EM, Gillman MW, Kleinman K, Rifas-Shiman SL, Redline S, Taveras EM. 2014. Television viewing, bedroom television, and sleep duration from infancy to mid-childhood. Pediatrics. 133(5):e1163-71.
Falbe J, Davison KK, Franckle RL, Ganter C, Gortmaker SL, Smith L, Land T, Taveras EM. 2015. Sleep duration, restfulness, and screens in the sleep environment. Pediatrics. 135(2):e367-75.