「子どもに動画を見せる時、スマホとタブレット、どっちがいいですか?」
普段、お子さんのメディアの使い方に関することで、このような質問をいただくことが多いです。
結論からお伝えすると、「タブレット」で動画を見せたり、アプリを使わせることをオススメします。
その理由について、今回は国内外の研究を踏まえて、わかりやすく解説していきます。
目次
スマホとタブレットのメリット・デメリット
まず、スマホとタブレットのそれぞれのメリット・デメリットについて簡単に見ていきましょう。
スマホのメリット・デメリット
スマホのメリット・デメリットは以下の通りです。
●コンパクトで持ち運びに便利
●小さいお子さんの手におさまりやすい
→落として、故障したりする危険が少ない
●画面が小さい
→視力や睡眠などに悪影響を与える危険がある
タブレットのメリット・デメリット
タブレットのメリット・デメリットは以下の通りです。
●画面が大きい
→見やすくて、操作しやすい
●タッチペンなどで絵を描ける
→活動の幅が広がる
●持ち運びするときにかさばる
●サイズが大きいため、落として破損する可能性が高い
タブレットも睡眠などに悪影響を与える危険あり
ここで一つご紹介したい研究があります。
6か月から3歳までの子供を対象に実施されたイギリスの研究では、テレビ画面とタブレットのどちらでコンテンツを見せるほうが、子どもの睡眠に大きな悪影響を与えるか調査しました。(Cheung et al 2017)。
その結果、テレビよりも、タブレットで見るほうが睡眠を妨げることがわかりました。
これは画面の大きさやスクリーンの光が関係しているとされています。
そのため、スマホとタブレットを比較すると、画面のサイズがより小さいスマホのほうが睡眠などに良くない影響を与える可能性が高いと考えられます。
また、テレビの視聴は、日中の睡眠(昼寝)に影響を与えますが、タブレットでの視聴は日中の睡眠だけでなく、夜間の睡眠にも深刻な影響をもたらすことがわかりました。
そのため、子どもに何かの番組や動画を見せるときは、タブレットやスマホなどを避けて、なるべく画面の大きいテレビなどで見せることを意識するのもオススメです。
Cheung CH, Bedford R, Saez De Urabain IR, Karmiloff-Smith A, Smith TJ. 2017. Daily touchscreen use in infants and toddlers is associated with reduced sleep and delayed sleep onset. Sci Rep. 7:46104.
そもそも何歳からスマホやタブレットを見せていいの?
今では、育児の一つのツールとしてスマホやタブレットを利用している方が多くいらっしゃいます。
ただ、あまり早い時期から子どもにスマホやタブレットを使わせすぎると、発達によくない影響を与える危険があることが指摘されています。
では、何歳からこのようなメディアを使わせてもいいのでしょうか…。
まず、WHOによるスマホの使用に関するガイドラインでは、次のように提言しています。
○1歳未満の子どもには、スクリーンを見せるべきではない。
※スクリーンには、スマホやタブレット、テレビなどが含まれています。
○1歳~2歳の子どもは、スクリーンの使用時間を1時間以内に抑えるべき。
○3歳~4歳の子どもは、スクリーンの使用時間を1時間以内に抑えるべき。
また、アメリカ小児科学会では、スマホやテレビなどを含めた、スクリーンの使用について以下のようなことを推奨しています。
◯18か月(1歳半)未満の子供は、ビデオチャット以外の画面メディアの使用を避けること。
※ビデオチャットなど、双方向でコミュニケーションを取れるものはOK!
◯18〜24か月(1歳半~2歳)の子供を持つ親は、セサミストリートなど教育的要素を含んだ高品質な番組を選ぶ。
また、保護者は子供たちと一緒にそれを見て、子ども自身が見ている内容を理解できるようにサポートする必要があります。
※このとき、暴力的コンテンツを含む内容や大人向けのコンテンツは避ける。
・2歳から5歳までの子供は、テレビをはじめ、メディアの使用を1日1時間に制限すること、そして、教育的要素を含む高品質な番組を選ぶ。
また、保護者は、テレビを子供と一緒に見て、子ども自身が見ているものを理解できるようにサポートする必要があります。
さらに、テレビで見た内容を現実世界に当てはめて、子どもの理解を促すことも大切です。
※例えば色について学ぶ番組内容であれば、それを見た後に、「お家のなかで赤色の物をいっしょに探してみよう」など語りかけ、テレビで学んだことの理解をより促す働きかけをしてみる。
・6歳以上の子供については、テレビをはじめとしたメディアの使用に費やす時間と、使用するメディアの種類に一貫した制限を設け、それらのメディアが十分な睡眠や運動、遊びなど健康に必要不可欠な行動に取って代わらないように注意する必要があります。
【参考】
American Academy of Pediatrics Announces New Recommendations for Children’s Media Use
このことを踏まえると、2歳まではスマホの使用は避けることをオススメします。
そして、3歳以降に、1日20分~30分程度、見せるというふうにしていくと良いと思います。
また、もし必要ないと思うのであれば、小学校入学前まで見せなくても全然問題ありません。
ただ、実際は、お母さんもすごく忙しくて、ずっと子どもについていられるわけではないと思いますので、もしスマホで何かをさせるなら、3歳以降、1日1時間以内を守って使わせるようにしましょう。
また、スマホやタブレットを使わせる時期に関しては以下の記事でより丁寧に解説していますので、気になる方はチェックしてみてくださいね!
スマホによる乳幼児期の子どもへの影響
スマホを使用することで、次のような悪影響や危険性も懸念されています。
①親子のコミュニケーションの減少
②語彙力の低下
②運動不足による、不健全な発達
④脳に刺激を与えすぎて、脳を歪ませる
⑤視力・焦点への影響
①~⑤については、以下の記事で詳しく解説していますので、こちらをチェックしてみてくださいね!
さいごに
今回は、動画やアプリを幼いお子さんに使わせるときに、スマホとタブレット、どちらがいいのかについて、国内外の研究を踏まえて解説してきました。
スマホとタブレット、どちらもメリット・デメリットがあるため、そのときの状況や場所に応じて使い分けることが大切です。
また、そもそもお子さんはこれらのメディアを使う年齢に達しているのかもしっかりと判断する必要があります。
そのため。今回解説したことを踏まえて、ぜひ、検討し直してみてくださいね!