生後4か月~6か月の子どもは、体のさまざまな機能が発達していく段階に入ります。
また、内臓の消化機能も整ってくるため、生後5か月~6か月で離乳食をはじめるお子さんが多いです。
加えて、この時期は、脳のなかでさまざまな回路がつながりはじめる時期でもあります。
そのため、この時期にお母さんやお父さんが適切な関わり方をしてあげることで、後々お子さんに良い発達をもたらすことができます。
そこで今回は、生後4か月~6か月の赤ちゃんに効果的な幼児教育や具体的な関わり方について、わかりやすく解説していきます。
目次
具体的にどんなことをしてあげたらいい?
幼児教育と聞くと、何かを教え込んだり、暗記させたりするイメージを持つ方が多いと思います。
ですが、基本的に4か月~6ヶ月のお子さんに暗記や詰め込みの教育は必要ありません。
この月齢の子どもは、とにかくお母さんやお父さんが直接関わってあげたり、触れ合ったりしてあげることが大切です。
また、その関わり合いのなかで、次のような工夫をしてあげることで、さらに脳の発達を促すことができます。
①迷路反射トレーニング
②ノー・ゴー反応の指導
③寝ながらできるバランストレーニング
④ぶらんこ遊び
⑤たかいたかい
⑥会話あそび
⑦指散歩
⑧ハンカチ等を使った「いない・いない・ばあ」
⑨アババ遊び
⑩見る力を育てるトレーニング
では、①~⑩について、それぞれのポイントややり方を少し詳しく見ていきましょう。
①迷路反射トレーニング
赤ちゃんは、生後4か月~6ヶ月ごろに首が座りはじめることが多いです。
首が座り始めたら、寝返りの動きを使った「迷路反射」のトレーニングを始めましょう。
ちなみに、「迷路反射」の「迷路」とは耳の奥にある三半規管や耳石器の別称のことで、頭が上下左右へ動いた時に起こる反射のことを「迷路反射」と言います。
具体的には、頭が傾くと、その方向に体も一緒に動く反射で、力(加速度)によって刺激されます。
この反射を身につけることで、おすわりを覚え始めた不安定な時期でも安全な転び方ができるようになります。
迷路反射のトレーニングでは、寝返りの動きを利用します。
まず、赤ちゃんの首にそっと手を当てて、首に負担がかからないようにゆっくり横に向けます。
そうすると、迷路反射が働いて、自然と体が寝返るので、それを待ちましょう。
そして、寝返りがうてたら、呼吸ができているか確かめた後、後頭部から背骨に沿って、スーッとなでおろします。
そうすることで、赤ちゃんは首を持ち上げて、スフィンクスのようなスタイルになります。
そうなれば、このトレーニングは成功です。
慣れてきたら、どんどんスピードアップしていきましょう。
②ノーゴー反応の指導
生後4か月~5ヶ月になったら、「ノーゴー反応」を少しずつ教えていきましょう。
「ノーゴー反応」とは、赤ちゃんが自主的にやめることを言います。
ちなみに、赤ちゃんが我慢してやめる反応を「ストップ反応」と言います。
この「ノーゴー反応」を今のうちから少しずつ教えることで、赤ちゃんがお母さんのサインを見聞きして、自発的に動きを止めることができるようなります。
この「ノーゴー反応」は、おむつをかえる時に教えることをおすすめします。
やり方はシンプルです。
おむつをかえるときに、赤ちゃんが足をバタバタさせたたら、それに対して、「ノー」サインを出します。
サインは、そのまま「ノー」と言ってもいいですし、「ダメ」と言ってもOKです。
また、言葉で伝えても、なかなかおさまらないときは、「ダメ」と少し厳しく伝えた上で、赤ちゃんの太ももを一時的に押さえて、その間におむつをかえます。
そして、おむつをかえられたら、さいごに「ちゃんとじっとしていられたね」などと声をかけながら、下半身をなでたりして、たくさんほめてあげましょう。
最初は、太ももなどを押さえても動こうとしますが、おむつがえの後にほめてあげることで、徐々に「ノーゴー反応」を覚えて、自発的に動かなくなることが多くなります。
また、ノーゴー反応を教えるときは、次のポイントを意識することも忘れないようにしましょう。
①いつも同じ言葉でやめさせる
②動かしている筋肉の上に手を乗せる
→そうすることで、力をいれずに動きを抑えることができます。
③最後には必ずほめてあげること
ちなみに、「ノーゴー反応」は、触ってはいけないものに触ろうとした時や食べてはいけないものを口に入れようとしたときなど、実生活におけるさまざまな場面に応用できます。
そのため、今のうちから少しずつ教えていくようにしましょう。
③寝ながらできるバランストレーニング
首が座ってきたら、遊びながら徐々にバランス感覚をトレーニングしていきましょう。
そこでおすすめなのが、赤ちゃんがゴロンと寝ながらできるバランス運動です。
やり方は、まず赤ちゃんを仰向けに寝かせます。
そして、赤ちゃんの肩が床から離れない程度に両足を持ち上げたり、下に戻したりします。
そうすることで、赤ちゃんのあごが上下するとともに、赤ちゃんが見ている世界も上下に動きます。
ただ、足を高くあげすぎると赤ちゃんの首に負担が大きくかかったり、びっくりしてしまうので、最初は少しだけ持ち上げるようにしましょう。
そして、慣れてきたら、徐々に動きを大きくしていきましょう。
ちなみに、この運動をすることで、耳石器というところが刺激されます。
耳石器が上下左右に刺激することで、バランス感覚を鍛えることができると言われています。
そのため、この時期から少しずつこのような遊びを取り入れて、赤ちゃんのバランス感覚を養うようにしましょう。
④ぶらんこ遊び
迷路反射を刺激する遊びのひとつに「ぶらんこ」遊びがあります。
やり方は、まずバスタオルを用意して、その上に赤ちゃんを仰向けに寝かせます。
そして、お母さんとお父さんの二人でタオルの両端を持って、赤ちゃんを包み込むようにしてもちあげ、左右にゆっくり振ります。
このとき、赤ちゃんをびっくりさせないように、赤ちゃんの目を見て、「揺らしますよ」といってから小さく揺らしてあげましょう。
そして、揺らした時に赤ちゃんが笑っていたら成功です。
泣いてしまったら恐がっているサインなので、無理して続けずに「ごめんね」と謝ってそっとあやしてあげましょう。
もし、赤ちゃんが楽しんでいる様子を見せるようであれば、少しずつ揺らす振り幅を大きくしていきましょう。
この「ブランコ遊び」をすることで、赤ちゃんの目・手・足の位置が変わって、迷路反射が刺激され、結果的にトレーニングになります。
ただ、危険が伴う遊びのため、最新の注意を払って行うようにしましょう
⑤たかいたかい
この時期の赤ちゃんには、ゆっくりと「たかいたかい」をしてあげるのもおすすめです。
というのも、「たかいたかい」は、体のバランス感覚を養ったり、転びにくくなるトレーニングになったりするからです。
ただ、急に強い刺激を与えると、脳の血管が切れてしまったり、他のが悪影響を与えてしまう危険があるため、最初は小さく、ゆっくりした動きでやってあげるようにしましょう。
また、「たかいたかい」で体を持ち上げるときは、周りをよく見せるイメージを持つとともに、高い状態にいる時間を少しずつ長くしていきましょう。
そして、下ろすときは、はじめはゆっくり降下させ、だんだん早く降ろすようにしましょう。
最初はとにかく、小さく・ゆっくりを意識して、慣れてきたら、少しずつ大きく、早くして、刺激を強くしていきましょう。
また、頭上や周囲に障害がないかや手を放してしまわないように細心の注意を払うようにしましょう。
⑥会話あそび
生後4か月くらいを過ぎると、赤ちゃんは「あー」や「まー」などの声を出すようになることが多いです。
これを「喃語」と言います。
この喃語が出てたら、お母さんは、そのまままねをして「オウム返し」をしてあげましょう。
そのとき、ただまねをするだけではなくて、赤ちゃんの口から出た言葉を長く出したり、声のボリュームを小さくしたり、大きくしたりなど、いろいろなバリエーションでオウム返しするのもポイントです。
そうすることで、まねをする時に使うミラーニューロンの刺激にもなりますし、赤ちゃんも繰り返し発音するようになります。
また、たまに赤ちゃんが口にした音とは違った音を言ってあげるのもよいでしょう。
そして、慣れてきたら、赤ちゃんが「まー」と言ったら、「ママね」と言って自分を指差すなどして喃語を意味のある言葉を関連付けてあげるようにしましょう。
⑦指散歩
この月齢の赤ちゃんには、一緒に楽しみながらリズムや指の動きやリズムを教えていきましょう。
このときにおすすめのが「指散歩」という遊びです。
指散歩では、人差し指と中指を足に見立てて、動かす遊びです。
普段からよく聞く歌やリズムに合わせて、赤ちゃんの興味を引くように床や太ももの上で指散歩をしてみましょう。
このような動きを繰り返し見せてあげることで、赤ちゃんもまねするようになり、結果的に指先を動かす練習になったり、リズム感を身につけるトレーニングになります。
赤ちゃんはお母さんやお父さんとふれあいながら遊ぶことが大好きなので、ぜひこの「指遊び」も試してみてくださいね!
⑧ハンカチ等を使った「いない・いない・ばあ」
「いない・いない・ばあ」は言わずと知れた親子あそびのひとつですよね。
「いない・いない・ばあ」は、「表情」から相手の心を理解する力を育てるのにおすすめの遊びのひとつです。
そのため、普段赤ちゃんと関わる時に、ぜひやってみるようにしましょう。
また、最初は手で顔を隠す一般的な「いない・いない・ばあ」で良いですが、慣れてきたら、ハンカチや画用紙で顔を隠したり、「いない・いない」の時間を少しずつ伸ばしていきましょう。
そして、「ばあ」と言って顔を見せるときは笑顔で微笑みかけましょう。
そうすることで、お母さんの顔を見れて嬉しいという気持ちを持つようになり、結果的に、これから起きることを期待して待つというトレーニングにもなります。
そのため、ぜひ1日に何回かは「いない・いない・ばあ」をして、一緒に楽しむようにしてみてくださいね!
⑨アババ遊び
赤ちゃんが喃語を話すようになったら、ぜひやっていただきたいのが「アババ遊び」です。
「アババ遊び」のやり方はシンプルです。
赤ちゃんが声を出したら、お母さんも真似をして同じ声を出します。
そして、赤ちゃんがそのまねをしたら、お母さんがお手本で口を手のひらでで軽く叩いて、「アババ」となるのを見せます。
(お母さんが自分の手で、自分の口を軽く叩いて行うという意味です。)
次に、赤ちゃんの手をお母さんの口に持っていって、叩かせ、「アー」という音が「アババ」になることを教えてあげましょう。
また、このとき、お母さんが赤ちゃんに口の形をよく見せながら、「イー」や「ウー」に発声を変えていくと、赤ちゃんもその口の形をまねして、正しい発声を覚えるきっかけになります。
そのため、赤ちゃんが喃語を話すようになってきたら、「アババ遊び」もやってみてくださいね!
⑩見る力を育てるトレーニング
生後6か月近くになると、視界も広くなり、見るという行為も上手になってきます。
このタイミングでやってほしいのが「見る力」を育てるトレーングです。
やり方は至って簡単です。
まずは、人形やぬいぐるみなど、赤ちゃんが興味を持ちそうな物を一つ用意して、赤ちゃんの目の前で見せます。
そして、それを赤ちゃんが頭を動かさなければ見えない視野の端に移動させます。
このとき、赤ちゃんが対象物を見失わないで、その動きを見続けられているかどうかを確認しながら動かすのがポイントです。
この点に気をつけながら、持っている物を上下左右や斜め上・斜め下など、赤ちゃんの視野全体に移動させてましょう。
慣れてきたら、動か向きや速さを変えて、トレーニングしていきましょう。
そうすることで、頭を動かしてみることはもちろん、見続けることで集中力を養うこともできます。
さいごに
今回は、生後4か月~6か月の赤ちゃんに効果的な幼児教育や具体的な関わり方について解説してきました。
この時期は、まだまだお母さんやお父さんとのふれあいが大切になります。
そのため、普段赤ちゃんと関わり合うなかで、今回解説したことを実践してみてくださいね!