子どもは、2歳を迎えると、脳が臨界期を迎えて、視覚や聴覚、触覚などの感覚刺激が急激に伸びると言われています。
また、2歳は、集団で遊んだり、ルールを理解して守ったりするなどの”社会性”を少しずつ身につけていく時期とも言えます。
そのため、この時期に、お母さんやお父さんが子どもの脳に適切な刺激を与えたり、同じ年齢の子どもたちが集まりやすい公園などに連れて行くことで、より良い発達を促すことができます。
そこで今回は、2歳の子どもに効果的な幼児教育や具体的な関わり方について、わかりやすく解説していきます。
目次
2歳児の幼児教育の主な方針
2歳は、脳が「臨界期」を迎える時期です。
臨界期とは、感覚刺激に対する反応が非常によくなる時期のことで、主に2歳から3歳半ごろまでを言います。
感覚刺激とは、名前からもわかるように聴覚や視覚、嗅覚、味覚、触覚などへの刺激のことです。
そのなかでも、2歳は最も感覚刺激を受け入れやすい時期だと言われています。
逆に、この時期に適切な感覚刺激を与えないと、この後、どんなに刺激を与えても反応が鈍く、刺激をうまく受け入れることができなくなってしまいます。
そのため、この時期は意識して感覚刺激を与えていくことが大切です。
また、臨界期における感覚刺激は、その子どもの一生を左右するものになると言われています。
そのため、豊かな感受性を身につけてもらうためにも、本物や良質なものを与えることを意識しましょう。
例えば、視覚であれば色鮮やかな絵や動く動物、聴覚であればいい音や音楽、嗅覚であれば花の香りや緑の匂いといった感じです。
このように、強弱や濃淡を意識して、さまざまな刺激を与えることがポイントです。
また、お母さんが子どもにたくさんのスキンシップをしてあがることで、触られると「気持ちい」という感情が起こってきます。
そうすると、側坐核というところで「気持ちいい」という快感がおこり、前頭葉の発達を促します。
ちなみに、運動には臨界期がないとされていませんが、早い時期から動かし方を練習すれば、その分、早く、上手になっていきます。
そのため、この時期からどんどん体を動かさせて、基礎を作っておくこともポイントです。
また、この時期から社会性や人間力を高めていくことも大切です。
ここでの社会性や人間力とは、集団で遊んだり、周りの人と上手に関わるためにルールを守っていく力です。
この力の基礎を築いていくのが2歳の時期です。
そのため、子どもが2歳になったら親子で関わり合うだけではなく、公園など同じくらいの年齢の子どもたちが集まる場所に連れていって、集団の中で遊ばせるようにしましょう。
ちなみに、年齢別の脳の発達に関しては以下の記事で解説しているため、気になる方はこちらの記事もあわせてチェックしてみてくださいね!
具体的にどんなことをしてあげたらいい?
最初にもお伝えしたように、2歳の子どもは感覚刺激が急激に伸びる「臨界期」を迎えるとともに、社会性を少しずつ見に付けていくでもあります。
また、1歳に比べて手先も器用になってくるため、さまざまな遊びができるようになるのも特徴のひとつです。
そのため、この時期の子どもには普段の関わり合いのなかで、次のような工夫をしてあげましょう。
①ボール遊び
②粘土遊び
③グー・チョキ・パー
④ボタンやジッパー遊び
⑤ちぎり絵
⑥折り紙
⑦速歩きや階段のぼり
⑧ボール蹴り
⑨ジャンプ
⑩三輪車
⑪数覚え
⑫2語をつなげて話す練習
では、①~⑫について、それぞれのポイントややり方を少し詳しく見ていきましょう。
①ボール遊び
2歳になったら、ボールを使った遊びをやらせてあげましょう。
ボール遊びの中で特におすすめなのが「ボール転がし」です。
ボール転がしのやり方はシンプルです。
まず、子どもが片手で握れるくらいのサイズのボールを用意します。
その後、目標物を決めて、そこに向けて転ばせるようにしましょう。
また、目標物をいきなり小さいものしたら難しくなってしまうので、まずは床にテープでラインを引いたり、大きいぬいぐるみを用意したりしましょう。
そして、慣れてきたら、転がす距離を長くしたり、目標物を小さくしたりなどして、難度をあげていきましょう。
さらにそれができたら、親子で違いに向き合って、ボールを転がしあいましょう。
このような練習を繰り返すことで、力の加減を調整したり、ボールをまっすぐ転がすことができ、手や指の使い方をトレーニングすることができます。
②粘土遊び
2歳の子どもには粘土遊びもおすすめです。
粘土遊びをするときのポイントは、まず何を作るのかを決めて、作ったものを使って遊ぶまでをセットにすることです。
そうすることで、作るときにでき上がりを考えて作るようになるからです。
このような作業ができると、ワーキングメモリーをトレーニングすることができます。
ただ、最初から複雑な物を作ることはできないため、まずは丸い球やヒモ状の物を一緒に作るようにしましょう。
また、1度作ったら終わりではなく、何度も同じ物を作ることも大切です。
そうすることで、力加減が上手になったり、手の動かし方が速くなります。
そうすると、手の神経回路がより太くなり、手先も器用になることができます。
慣れてきたら、四角や三角など好きな形を作ってみたりして、より複雑な形や立体物に調整していきましょう。
③グー・チョキ・パー
指先を器用に動かせるようにするには、指を1本ずつ動かせるようになる必要があります。
その練習としておすすめなのが「グー・チョキ・パー」です、
「グー・チョキ・パー」をするときは、まずお母さんが子どもの目の前で「グー」「チョキ」「パー」と言いながら、それぞれの手の形を見せてあげましょう。
また、最初は利き手でやらせてあげて、それができたら、反対の手でやらせてあげるようにしましょう。
そして、それぞれの形ができるようになったら、片方の手でチョキを作り、もう片方の手で「グー」を作って、「かたつむり」など、想像させながらいろいろなものを作らせましょう。
それにも慣れてきたら、ジャンケンなどを教えて、親子遊びに取り入れるのもおすすめです。
④ボタンやジッパー遊び
手先の動きをトレーニングする道具としておすすめなのが「ボタンやスナップのとめ外し」「ジッパーの上げ下げ」です。
そのため、もしボタンやスナップ、ジッパーがついたいらない洋服があれば、それを練習用として子どもに使わせてあげましょう。
やり方に関しては、他の遊びと同じでまずはお母さんが目の前でお手本を見せてあげましょう。
また、子どもにやらせるときも、まずは補助してあげて、右手と左手の使い方をそれぞれ丁寧に教えてあげるようにしましょう。
ただ、ボタンに関しては難しいので、子どもが苦戦するようであれば、お母さんが見せてあげるだけでもOKです。
「ボタンやスナップのとめ外し」「ジッパーの上げ下げ」は、子どもが自分でお着替えをできるようになるためにも必要です。
そのため、早いうちからこのようなものに触れさせて練習させておくようにしましょう。
⑤ちぎり絵
指先の使い方がだんだんと上手になってきたら、「ちぎり絵」もやってみましょう。
「ちぎり絵」とは、色紙をちぎって画用紙に貼り付けて、絵を作る遊びです。
ちぎった紙を貼って形にしていくことで、創造力を養うことができます。
ちぎり絵のやり方自体は、至ってシンプルです。
まず、色紙を3〜4枚ほど選ばせて、好きなようにちぎらせます。
このとき、裏にノリをつけることを考えて、大きめにちぎるのがポイントです。
次に、ちぎった色紙にノリをぬったら画用紙に貼り付けていきます。
このとき、最終的に何かの形になるように工夫して貼っていくことが大切です。
そして、何枚か貼り付けたら、「これは何に見える?」など質問して、子どもの想像力を刺激してあげましょう。
また、答えられたら、それが決して絵に似ていなくても、ほめてあげましょう。
他にも、木や葉っぱなど必要に応じて絵を書き足して、想像力や創造性を刺激してあげるようにしましょう。
⑥折り紙
2歳になったら、折り紙を少しずつ始めていきましょう。
ただ、この時期の子どもはなかなか手先が上手に動かないので、何かを作らせるというよりは、折り紙を通して量的な概念を教えることを意識しましょう。
「量的な概念」とは、物の大小や長短、重軽などのことです。
例えば、お母さんが並んで座って、「折り紙を半分に折ります」と言いながら、辺同士を合わせて、長方形に折ったり、角と角を合わせて三角形に折ります、
このとき、「半分」とは、「折り紙を二つに折って、同じ大きさに分けた形であること」であることを説明してあげましょう。
また、半分に折らせるときは、角と角、辺と辺がずれないように、場面に応じた指や爪の使い方を教えてあげるのもポイントです。
そして、半分に折れたら、三つ折りなども教えてあげましょう。
このようにして、徐々にレベルアップさせていくことで、手先が器用になるとともに、考える力や予測する力をトレーニングすることができます。
⑦速歩きや階段のぼり
2歳になったら、ただお散歩させるだけではなく、速く歩いたり、階段を上ったりなどさせて、歩きのテクニックを身につけさせましょう。
遊びのなかで特におすすめなのが、「追いかけっこ」や「鬼ごっこ」です。
芝生ややわらかい土の上など、さまざまな地面でこのような遊びをすることで、歩いたり、走ったりすることがどんどん得意になります。
また、階段での上り下りの練習も大切です。
階段の上るときは、つま先→かかと→かかとを上げる→つま先で階段を蹴るという一連の動作を意識しながら、一段一段確実に上らせるようにしましょう。
この時期の子どもは、足が小さいこともあってつま先立ちができないことが多いため、最初は手をつないであげたり、「いち、に、さん」という感じで掛け声をかけてあげるのもポイントです。
⑧ボール蹴り
公園などに行った時は、「ボール蹴り」もおすすめの遊びのひとつです。
ボール蹴りは、片足で立ちながら、もう片方の足のつま先でボールを蹴らなければならないため、見た目以上に難しい動作です。
そのため、最初は、足を前に振り出して、ボールに当てる感覚をつけさせてあげましょう。
そして、ボールを蹴る感覚が身についてきたら、遊具などをゴールに見立てて、そこに蹴るように言ってみましょう。
ボールを投げる時と同じように、ボールを蹴るときも脳はどの方向に、どれくらいの地下からで足を動かせばいいのか考えるため、脳への刺激にもなります。
これができたら、お母さんお父さんと向き合って、パスをするようにしましょう。
また、ボール蹴りをするときは、お子さんをほめてあげることも忘れないようにしましょう。
たくさんほめてあげることで、楽しく遊べるとともに、もっと喜んでもらうために努力するようになります。
⑨ジャンプ
たくさん歩けるようになったり、歩きテクニックが身についてきたら、次はジャンプをさせてみましょう。
少し高い所からジャンプの練習をすることで、運動面の発達だけではなく、チャレンジ精神や達成感をもたらすこともできます。
このような経験を繰り返すことで、何か新しいことに挑戦する楽しさを体感させることができます。
ただ、ジャンプは危険が伴うため、しっかりと親御さん管理のもと行うようにしましょう。
最初は、お母さんが子どもと手をつなぎながら、低い段差や階段の上から、両足を揃えてジャンプさせます。
また、飛ぶ瞬間に上に引っ張りに上げるようにして飛ばせるのがポイントです。
そして段差のジャンプができるようになったら、その場でのジャンプに挑戦しましょう。
これを繰り返し練習することで、つま先に力を入れるタイミングや体の使い方などを学ぶことができるとともに、それに伴って脳へのさまざまな刺激を与えることができます。
⑩三輪車
2歳になったら、三輪車に積極的に乗らせてあげるのもおすすめです。
というのも、三輪車やペダルカーは、歩くだけでは身につかない動きを覚えるのに効果的な動作だからです。
また、後々、自転車に乗るための準備としても大切です。
そのため、安全な場所を確保した上で、どんどん乗らせてあげるようにしましょう。
三輪車をに乗らせるときは、最初はペダルから足を外させて、後ろから背中を押して動かしてあげます。
このとき、緩急をつけて押してあげることで、歩くときのスピードよりも速いこと、また、動くとペダルも一緒に動くことなどを教えてあげましょう。
それができたら、実際に子どもの足をペダルに乗せ、ゆっくりとした速さで押し、足の動かし方を覚えさせましょう。
止まる時は足を地面につけることも忘れずに教えるようにしましょう。
また、三輪車で転ぶことは少ないですが、バランスを崩すと倒れてしまうことがあるので、三輪車に乗らせるときは、必ず近くについているようにしましょう。
⑪数覚え
2歳になったら、数の数え方や概念も教えていきましょう。
日常生活の中で、数を数えさせたり、教えたりする場面はたくさんあります。
例えば、みかにゃりんごを両手に持ってみせながら、「これで二つね」と説明することで、「2」という数字を関連づけて教えることができます。
ほかにも、おもちゃを並べて、「前から3番目のおもちゃをちょうだい」と伝えることで、順番の数え方を教えるきっかけにもなります。
また、「ひとつ、ふたつ、みっつ…」「いち、に、さん」など数の数え方を使い分けて教えてあげるようにしましょう。
⑫2語をつなげて話す練習
2歳~2歳半頃になると「語彙爆発」が起きて、子どものボキャブラリーが増えます。
そうなってきたら、短くてもいいので、二つ以上の単語をつなげて、文章で話す練習をさせるようにしましょう。
もし、子どもが「りんご」と言ったら「りんごを食べたいの?」、「おそと」と言ったら「お外に遊びに出かけたいの?」と言い直してあげましょう。
そうしていくうちに、少しずつ文章にして話すことを覚えておきましょう。
ほかにも、「こっち」「向こう」など方向を表す言葉なども、指をさしながら教えてあげるようにしましょう。
さいごに
今回は、2歳の子どもに効果的な幼児教育や具体的な関わり方について解説していきます。
2歳は、脳が臨界期を迎えることで、感覚刺激が急激にのびたり、手先が器用になってくる時期でもあるため、子どもの発達に合った適切なトレーニングや遊びを行うようにしましょう。
また、2歳は、集団での遊びやルールを通して、社会性を徐々に身につけていく時期でもあるため、同い年くらいの他の子どもとも積極的に遊ばせてあげてくださいね!