生後0か月~3か月の子どもは、呼吸を整えたり、栄養を消化し、自律神経を働かせたりなど、生きていくために必要な体の仕組みを作っていく大切な時期です。
また、脳の発達に大切なシナプスも、この時期に急激に増えていくと言われています。
そのため、この時期にお母さんやお父さんが適切な関わり方をしてあげることで、後々お子さんに良い発達をもたらすことができます。
そこで今回は、生後0か月~3か月の赤ちゃんに効果的な幼児教育や具体的な関わり方について、わかりやすく解説していきます。
目次
生後0か月~3か月はどんな時期?
最初にもお伝えしたように、生後0か月~3か月は、生きていくために必要な体の仕組みを作っていく時期です。
例えば、この時期に赤ちゃんは、あやすことで笑ったり、自分の両手を見つめるようになったりします。
他にも、視力はぼんやりとしていますが、何かを見つめたり、口にもっていったり、お母さんやお父さんの声・においなどを感じたりします。
そのため、この時期のお子さんには、たくさん話しかけたり、スキンシップしたりなど、お母さんお父さんとのふれあいが大切になってきます。
具体的にどんなことをしてあげたらいい?
幼児教育と聞くと、何かを教え込んだり、暗記させたりするイメージを持つ方が多いと思います。
ですが、基本的に0か月~3ヶ月のお子さんにそのような教育は必要ありません。
この月齢の子どもは、とにかくお母さんやお父さんが話しかけてあげたり、スキンシップをとったりなどのふれあいが大切です。
ただ、そのふれあいのなかで、次のようなちょっとした工夫をしてあげることで、さらに脳の発達を促すことができます。
【0か月~1か月】
①行動前に声掛けをする
②グーパー運動
③見つめるトレーニング
④うつぶせ顔上げトレーニング
⑤顔まねトレーニング
⑥おむつがえ
【2か月~3か月】
⑦いない・いない・ばあ
⑧視線誘導トレーニング
⑨まんまる運動
⑩回転運動のトレーニング
⑪お散歩
⑫1日のリズムを整える
では、①~⑫について、それぞれのポイントややり方を少し詳しく見ていきましょう。
①行動前に声掛けをする
この月齢の赤ちゃんには、行動前の声掛けが大切です。
例えば、授乳するときやおむつをかえるときなど、なにかをするときに、
「◯◯ちゃん、これから~するね」
というふうに声をかけてあげましょう。
ちなみに、お母さんの中には、赤ちゃんになんて声をかけたらいいかわからないという方もいらっしゃいます。
このように、どんな声掛けしたらいいかわからなくなってしまったときは、「今やっていること」や「これからやること」をそのまま伝えてあげたら大丈夫です。
また、例えば、おむつを変える時に、このような声掛けを何回も繰り返すことで、赤ちゃんの脳の中でさまざまな回路がつながり、おむつを見たら、おむつがえが始まると赤ちゃん自身が認識するようになります。
これを一年近く続けることで、赤ちゃんは聴覚や視覚を使って、これからお母さんがなにをするのか予測するようになり、自分なりに準備するようになります。
そのため、この月齢の赤ちゃんに何かする前は、必ず名前を最初に呼んで、これからすることを伝えてあげましょう。
②グー・パー運動
生まれたばかりの赤ちゃんには、両手を握る反射が働きます。
これを専門用語で「把握反射」といいます。
この月齢の赤ちゃんは手をひらいたり、握ったりさせる運動が必要です。
そのときに使えるのは、「グー・パー運動」です、
「グー・パー運動」のやり方は簡単です。
まず、ペンや棒状のものを用意して、それを赤ちゃんの手のひらに優しくぎゅーっと押してあげます。
そうすること、赤ちゃんはその刺激に反応して、棒を握るようになります。
このとき、親指が外に出るように注意しましょう。
また、握っている手を開かせたいときは、手の甲から手首までそっとなでてあげればOKです。
このように把握反射を繰り返してあげることで、自分の意思でグー・パーをできるようになります。
③見つめるトレーニング
生まればかりの赤ちゃんは、ぼんやりとですが物は見えます。
そのため、この月齢の赤ちゃんには、網膜を刺激するトレーニングもおすすめです。
やり方は簡単です。
まず、お母さんの顔を30cmほどの距離になるように赤ちゃんに近づけましょう。
そして、向き合ったら、「お母さん(ママ)ですよ」というふうに声をかけて、目を合わせましょう。
それに対して、赤ちゃんが両目でじっと見つめたら成功です。
これを3回~5回繰り返しましょう。
これができたら、次は家のなかにある物で試してみましょう。
ただ、赤ちゃんは人の顔が好きなので、できれば他の人にお願いしたり、顔の絵を描いて見せてあげるのがおすすめです。
ちなみに、赤ちゃんの視野は上下左右約50度ほどと言われています。
④うつぶせ顔上げトレーニング
次にご紹介したいのが、うつぶせ顔上げトレーニングです。
うつぶせは、窒息や乳幼児突然死症候群などの危険があるとも言われているため、もしどうしても心配ということであれば、無理に行う必要はありません。
ただ、赤ちゃんが目を覚ましている状態であれば、危険ではないと言われています。
また、うつぶせのトレーニングをすることで、首の座りが早くなったり、仰向けで寝ているだけでは得られない刺激を早い時期から得られるとも言われています。
そのため、1日に何回か赤ちゃんの機嫌がよいときに、やってあげることをおすすめします。
やり方に関しては、まずタオルケットやパッドなどを用意します。
その上で、顔を横に向け、息がちゃんとできか確認しながら、後頭部をそっとなでて、顔だけあげる練習をさせます。
ちなみに、顔を挙げて上を向くと背中の筋肉が収縮します。
そして、この筋肉が働くようになると、首をあげられるようになり、首が座ってきます。
ですが、このトレーニングは窒息の危険などもあるため、必ずお母さんがすぐそばで付き添ってあげましょう。
また、顔が埋まらないように、柔らかい布や布団は避けるようにしましょう。
⑤顔まねトレーニング
赤ちゃんは、生後2週間を過ぎると、お母さんの顔まねができるようになります。
例えば、赤ちゃんと向き合って口を開けると、赤ちゃんも口をあけます。
そのため、この時期からいろんな表情を見せて、まねをさせてあげましょう。
顔まねができたら、次は、赤ちゃんの前で手をグーパーしたりして見せてあげましょう。
そうすることで、赤ちゃんもまねをするようになります。
また、もし目の前で見せてもまねをしなかっがら、20秒異常じっくりと見せて反応を待ちましょう。
そして、まねができたら、ほめてあげたり、なでてあげたりして、赤ちゃんが気持ちく感じるようにスキンシップをとってまげましょう。
ちなみに、まねをするときは脳のミラーニューロンシステムというものが働きます。
この機能は、まねをを助ける役割があり、生後2週間~3週間の頃に活発に働きます。
ミラーニューロンは、他にも相手の表情を見て、なにを考えているか理解する働きもあるため、この時期から積極的に働かせることをおすすめします。
⑥おむつがえ
おむつがえも、ちょっとした工夫をすることで、脳に良い刺激を与えることができます。
まず、おむつが汚れたときは、なるべく早くかえてあげるようにしましょう。
また、かえるときは、新しいおむつを見せてから、「おむつをかえましょうね」と声をかけます。
そして、かえ終わったら、必ず「気持ちよくなったね」と声をかけて、両手でお腹や足をさすって、刺激を加えながらほめてあげましょう。
これを繰り返すことで、赤ちゃんはおむつをかえたら、ご褒美として「声掛け」と「スキンシップ」をしてもらえると思って、おむつがえを気持ちの良いことと認識するようになります。
そのため、おむつをかえるときは、いつも同じ声掛けやスキンシップを行うことを意識してみましょう。
⑦いない・いない・ばあ
生後二ヶ月を過ぎたら、やってほしいのが 「いない・いない・ばあ」です。
お母さんが笑顔をみせて「ばあ」と言った時に笑うようになったら、「いない・いない・ばあ」をはじめるタイミングです。
やり方は、簡単です。
まず、笑顔でほほえみかけて、赤ちゃんが目を合わせてくれたら、「いない、いない」と言いながら自分の顔で両手で覆いましょう。
このとき、指の間から赤ちゃんが見ていることを確かめます。
そして、確認できたら、「ばあ」と言って赤ちゃんに微笑みかけましょう。
そして、「ばあ」のときに赤ちゃんが一緒に笑ってくれるようになるまで繰り返しましょう。
また、一緒に笑ってくれたら、さいごになでたり、声をかけたりしてほめてあげましょう。
⑧視線誘導トレーニング
③でじっと見つめるトレーニングをご紹介しましたが、生後2ヶ月を超えたら、視線を誘導するトレーニングも少しずつ始めていきましょう。
これは、人形やぬいぐるみなどの対象物の位置を少しずつずらして、目だけ追って見ることを覚えさせるトレーニングです。
やり方は簡単です。
赤ちゃんの興味を引きやすい人形やぬいぐるみを一つ用意して、赤ちゃんの顔の前に持っていきます。
そして、赤ちゃんがそれを見たら、ゆっくりと動かしていきます。
このとき、早く動かしてしまうと目で追えないので、しっかりと赤ちゃんの目線を確認しながらゆっくり動かすことがポイントです。
これを行うことで、見るという行為だけではなく、自分から積極的に見る力を養うことができます。
上手に目で追って見ることができてきたら、少しずつ動かすスピードを早くしたり、動かす距離を長くしてみるようにしましょう。
⑨まんまる運動
④でご紹介した「うつぶせ顔上げトレーニング」などで、うつぶせができるようになったら、次は「迷路反射」に関するトレーニングを始めましょう。
「迷路反射」の「迷路」とは耳の奥にある三半規管や耳石器の別称のことで、頭が上下左右へ動いた時に起こる反射のことを「迷路反射」と言います。
具体的には、頭が傾くと、その方向に体も一緒に動く反射で、力(加速度)によって刺激されます。
つまり、ゆっくり姿勢を変えるだけでは、この反射を鍛えることはできません。
そこで、この迷路反射のトレーニングでおすすめなのが、「まんまる運動」です。
「まんまる運動」では、まず赤ちゃんを仰向けに向かせて、両手で足首をもたせます。
それができたら、お母さんが赤ちゃんの太もものあたりを押さえて、左右に揺すって挙げましょう。
揺するときは、赤ちゃんが恐がらないようにゆっくり、やさしく、丁寧にすることを意識しましょう。
この運動をすることで、前半器官と後半規管が刺激され、「迷路反射」を身につけることができます。
この反射を身につけることで、おすわりを覚え始めた不安定な時期でも安全な転び方ができるようになります。
⑩回転運動のトレーニング
「まんまる運動」と一緒にやってみてほしいのが回転運動のトレーニングです。
これも「迷路反射」を利用した運動です。
まず、赤ちゃんを仰向けに寝かせて、頭をそっと横に向けます。
その後、お尻のあたりを軽く押して、寝返りを促しましょう。
そして、ごろんとうつぶせになったら、後頭から背中にかけて、そっとなでて、顔をあげさせます。
このとき、両手が交差しないように気を付けましょう。
この回転運動をすることで、三半規管への刺激はもちろん、赤ちゃんから見える景色が大きく変化するため、視覚にも良い影響を与えることができます。
そのため、赤ちゃんの様子や期限を見ながら、ぜひ取り組んでみてくださいね!
⑪お散歩
この時期の赤ちゃんには「お散歩」も効果的です。
公園などの外の世界では、家の中では得られないたくさんの刺激があります。
そのため、天気が良い日には、積極的にお散歩に連れて行ってあげましょう。
また、できれば散歩するときはベビーカーよりも、お母さんと同じ方向を向かせる「たて抱っこ」がおすすめです。
そうすることで、振動や太陽の光、熱などを感じられますし、公園で遊ぶ他の子どもたちの声や花の匂いなどが赤ちゃんの視覚や聴覚を刺激してくれます。
このように、お散歩では同時にたくさんの刺激を受けることができるため、天気が良い日やお時間があるときは積極的に連れて行ってあげるようにしましょう。
⑫1日のリズムを整える
生まれたばかりの赤ちゃんは眠る時間や起きる時間が決まっていないため、リズムのない生活をしてしまいます。
また、赤ちゃんが1日のリズムを覚えるのは、生後6か月~8か月経ってからと言われています。
※個人差があります。
ですので、この時期から、少しずつ24時間に合わせた生活リズムを覚えていく必要があります。
そのためにも、「起こすために、あやしたり、触れ合う」という意識を持って、まずは昼間に起きている時間を少しずつ長くしていきましょう。
そうすることで、生後6か月~8か月にかけて、昼・夜・覚醒・睡眠などのリズムを作っていきます。
ちなみに、「寝る子はいい子」と言われますが、それはある意味、親が刺激を与えられていない状態とも言えます。
そのため、時間の許す限り、お子さんに話しかけたり、スキンシップをとったりして、刺激を与えてあげることが大切です。
また、眠る前にゆっくり体を揺らしたり、子守歌を歌ったりするものポイントです。
加えて、部屋を静かに暗くしたり、温度に気を付けたりするようにもしましょう。
さいごに
今回は、生後0か月~3か月の赤ちゃんに効果的な幼児教育や具体的な関わり方について解説してきました。
最初にもお伝えしたように、生後0か月~3か月は生きていくために必要な体の仕組みを作るためにも大切な時期です。
また、この時期は、親子のふれあいが一番大切になります。
そのため、大切なお子さんに話しかけたり、スキンシップをとっていく中で、今回解説したことを実践してみてくださいね!